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コーヒーのカッピングとは?スコアシートの読み方と自宅でできる入門ガイド

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コーヒー豆のオンラインショップを眺めていたら、「カッピングスコア88点」という表記が目に入りました。点数は高そうだとわかるけど、何を評価しているのかがよくわからない。そういう経験、ありませんか。

カッピングとは、コーヒー業界で行われる専門的なテイスティング・品質評価の手法です。生産者が豆の出来を確認したり、バイヤーが買いつける豆を選んだり、ロースターが焙煎の仕上がりをチェックしたりするために使われます。スペシャルティコーヒーの「80点以上」という基準も、このカッピングで算出されたスコアのことです。

気になって調べてみたのですが、プロだけのものだと思っていたカッピングが、実は初心者でも体験できるイベントとして各地で開催されていることがわかりました。参加料数百〜千円程度で、焙煎したての豆を複数飲み比べながらプロから解説を聞けるものが多い。これは参加してみたい、と思っています。

この記事では、カッピングとは何かという基礎から、スコアシートの読み方、フレーバーホイールの使い方、そして自宅でできる簡易カッピングの方法まで、初心者向けに解説します。カッピングの知識が身につくと、コーヒーの説明書きの読み方が変わって、豆選びがもっと楽しくなります。

目次

カッピングとは何か?目的と役割

カッピングは英語で「cupping」と書き、コーヒー業界における標準的な品質評価・風味分析の手法です。コーヒーの「テイスティング」と言ってもよいですが、家庭での飲み方とは明確に異なる手順とルールがあります。

コーヒー業界でのカッピングの位置づけ

生産・流通・焙煎の各段階でカッピングが行われています。農園では収穫した豆の品質チェックに使い、コーヒーバイヤーは産地で現地の豆を評価するためにカッピングします。ロースターは焙煎の前後で豆の状態を確認し、バリスタは仕入れた豆の風味特性を把握するためにカッピングを行います。

共通した評価手順があることで、産地や言語が違っても「この豆は87点」という形で品質を共通言語で伝えられる。それがカッピングプロトコルの重要な役割です。スペシャルティコーヒー協会(SCA)が定めた手順が世界標準として広く採用されています。

カッピングが一般的なコーヒーの飲み方と大きく違うのは、抽出方法です。ドリッパーもエスプレッソマシンも使わず、カップにコーヒー粉を直接入れてお湯を注ぐ、いわゆる「浸漬式」で飲みます。フィルターもありません。シンプルな方法だからこそ、豆本来の風味が余計なものを挟まずに伝わりやすくなります。

消費者向けカッピングイベントとの違い

プロが行うカッピングは評価のための作業ですが、消費者向けのカッピングイベントは「コーヒーの飲み比べを楽しむ体験」として企画されることがほとんどです。評価シートへの記入は任意だったり、プロが解説を加えながら進めてくれたりするので、専門知識がなくても気軽に参加できます。

スペシャルティコーヒーのロースターやカフェが主催することが多く、産地違い・精製方法違い・焙煎度違いの豆を一度に飲み比べられる貴重な機会です。コーヒーの勉強として参加するのはもちろん、「次に買う豆を決める試飲の場」としても活用できます。

SCAカッピングプロトコルの基本ルール

SCA(Specialty Coffee Association)が定めたカッピングプロトコルは、再現性と公平性を担保するために細かく手順が規定されています。プロはこれに従って評価しますが、概要を知っておくとカッピングイベントでの体験がより深まります。

豆の量・お湯の温度・器具の準備

基本的な比率は、コーヒー豆5.5gに対してお湯100mlです。一般的なドリップコーヒーより少し濃いめの比率です。お湯の温度は93℃が標準で、90〜96℃の範囲内で行います。

使用する器具はカッピングボウル(容量200〜300ml程度のカップ)、カッピングスプーン(丸みのある深めのスプーン)、電子秤、グラインダー。グラインダーは豆をその場で挽くことが重要で、挽いてから15分以内にお湯を注ぐルールがあります。豆が酸化し始めると評価に影響するためです。

同じ豆を3〜5カップ並べて評価するのもSCA標準。複数カップを評価することで、単なる偶然ではなく豆の本来の特性を正確に捉えられます。「5杯中4杯でベリー系の香りを感じた」なら信頼性が高い評価になります。

カッピングの手順(ブレイクからスラーピングまで)

手順を順番に説明します。まずカップに挽いたコーヒー粉を入れ、93℃のお湯を全量注ぎます。注いだら4分間そのまま待ちます。この間に表面に「クラスト」と呼ばれる粉の層が形成されます。

4分経ったら「ブレイク」の手順。スプーンでクラストを3回ほど前方に押し、粉を沈めながら鼻をカップに近づけて香りを確認します。これがカッピングの中でも最も印象的な瞬間で、豆の香りが一気に立ち上がります。

ブレイク後、浮いた粉と泡(スカム)をスプーン2本を使ってすくい取ります。その後、コーヒーが約70℃に冷めたら評価を始めます。スプーンでコーヒーをすくい、勢いよく「ズズズッ」とすすって(スラーピング)口の中全体に液体を広げながら風味を評価します。この派手な飲み方はエアレーション(空気を混ぜること)で香りの揮発を促すためで、ワインのテイスティングと同じ原理です。

温度変化で味がどう変わるか

カッピングで面白いのは、温度が下がるにつれてコーヒーの風味がどんどん変化していく点です。熱い状態(70〜80℃)ではボディや苦みが前面に出やすい。少し冷めてきた60〜70℃では香りと甘みが出てきやすい。さらに冷めて50〜60℃になると酸味と細かいフレーバーが鮮明になってきます。

一口飲んで「なんか普通だな」と思っても、もう一度冷めてから飲むと全然違う印象になることがある。これがカッピングをダレずに楽しめる理由でもあります。カッピングイベントでは進行役が「今どの温度帯で評価するといいか」を教えてくれることが多いです。

カッピングスコアシートを読み解く

SCAのスコアシートには10の評価項目があります。スコアリングの仕組みを知っていると、「85点のコーヒー」が何を意味するかがよりリアルに理解できます。

評価10項目の意味をわかりやすく解説

フレーバー(Flavor)は口の中で感じる風味の全体像です。アロマ(鼻から感じる香り)と味の総合的な印象を評価します。スコアシートの中でも最も重要な項目のひとつです。

アフターテイスト(Aftertaste)は飲み込んだ後に口の中に残る余韻の質と長さです。苦みだけが残るのか、甘みや果実感が長く続くのか。良質なスペシャルティコーヒーはアフターテイストが長くて心地よいとされます。

アシディティ(Acidity)は酸の質です。単純な量だけでなく、酸の心地よさや複雑さを評価します。リンゴのような爽やかな酸か、柑橘のような鮮やかな酸か。苦みを伴う不快な酸とははっきり区別されます。ボディ(Body)は口当たりの重さや質感です。バランス(Balance)はフレーバー・アフターテイスト・アシディティ・ボディの調和を見ます。

スイートネス(Sweetness)、クリーンカップ(Clean Cup)、ユニフォーミティ(Uniformity)は複数カップを比較しながら評価する項目です。クリーンカップは雑味や異臭がないことを確認するもので、ユニフォーミティは複数カップ間での風味の一致度を見ます。オーバーオール(Overall)は評価者の主観的な総合評価、テイント/フォルト(Taint/Fault)は欠点風味があれば減点する項目です。

スペシャルティコーヒーの「80点以上」の意味

SCAの基準では、カッピングスコアが80点以上の豆がスペシャルティコーヒーと認定されます。これはかなりハードルが高い基準で、欠点豆が混入していたり、品質管理が不十分だったりすると80点には届きません。

85点以上になると「優れたスペシャルティコーヒー」として評価されることが多く、コーヒー通販や専門店では「スコア88点」「スコア90点以上」のような表記を見かけるようになります。90点以上は非常に少なく、Cup of Excellence(コーヒーの国際コンペ)の受賞ロット程度です。

スコアだけで品質を判断しないための補足

スコアは品質の目安ですが、「自分が好きかどうか」とは別の話です。スコアが高くても、好みに合わない味わいのコーヒーはあります。逆に、75点程度の豆でも日常使いとして「飽きない美味しさ」を感じることもある。スコアは選ぶ際の参考情報のひとつとして活用しつつ、最終的には自分の舌で判断するのが一番です。

フレーバーホイールとは?

フレーバーホイールはコーヒーの風味を視覚的に整理した円形の図表です。SCAが作成したバージョンが最もよく使われており、カッピングイベントでもよく目にします。

フレーバーホイールの使い方

ホイールの中心に近いほど大きなカテゴリ(例: フルーティ、ナッティ、スパイシー)で、外側に行くほど具体的な表現(例: ベリー→ブラックベリー、ラズベリー)になります。コーヒーを飲んで「なんか甘いフルーツっぽい」と感じたら、まず「フルーティ」のエリアを見る。次に「これはベリー系かな、それともシトラス系かな」と絞り込んでいく。最終的に「ブルーベリー」や「レーズン」といった具体的な言葉に辿り着く、という使い方をします。

フレーバーホイールはコーヒーを「表現する語彙」を増やすためのツールです。「美味しい」だけで終わっていた評価が「柑橘系の酸味とピーチのような甘みがあってバランスが良い」という具合に具体的になると、記憶に残りやすく、次の豆選びの基準にもなります。

「フルーティ」「ナッティ」をもっと具体的に表現するコツ

最初はフレーバーホイールを見ながらでも全然構いません。ただ、コツは「似ているものを探す」姿勢です。「このフルーティさはリンゴに近いか、ベリーに近いか」と自分に問いかけながら飲む。正解はありません。評価者によって感じ方が違っていいのがカッピングの面白さでもあります。

「言葉にならない」という状況でも、「好き/普通/苦手」という直感的な評価は十分に価値があります。カッピングイベントでは評価の正確さより「自分が何を感じたか」を大切にすることをすすめるインストラクターが多いです。

自宅でできる簡易カッピングのやり方

自宅でも道具を揃えれば、簡単にカッピングを体験できます。完璧なプロトコルでなくても、複数の豆を並べて比較するだけで十分楽しめます。

必要な道具と準備

必要なものはコーヒーカップ(深みのあるマグカップでOK)、スプーン2本、電子秤、コーヒーグラインダー、お湯(90〜93℃)。カッピングスプーンがなければ、丸みのあるスープスプーンで代用できます。比べたい豆を2〜3種類用意するのがおすすめです。同じ産地でナチュラルとウォッシュドを比べる、同じ豆で焙煎度を変えて比べる、といった実験もできます。豆は直前に挽く。1カップにつき10〜12g程度が目安です。

手順と評価のポイント

カップにそれぞれ挽いた豆を入れ、お湯を200ml注ぎ、4分待ちます。クラストをスプーンで割りながら香りを確認し(ブレイク)、浮いた粉を取り除きます。少し冷めてから(65〜70℃が目安)、スプーンですくってすすって飲む。

評価するときは「どちらが好きか」を先に決めてから、「なぜ好きか」を考えてみましょう。「こっちの方が甘みが強くて好き」「香りが良いけど後味がちょっと苦い」など、言葉にしながら飲むと記憶に残ります。

複数の豆を比較する飲み比べカッピング

豆の通販を利用するなら、ロースターが提供している「飲み比べセット」を購入するのも手です。同じロースターが同じ焙煎度で仕上げた複数の産地や精製方法の豆を比較できるので、違いが出やすいです。自宅カッピングをやり始めると、「この豆はウォッシュドだからクリーンな酸味があるはず」「エチオピアのナチュラルだからベリー感を探してみよう」という仮説を立てながら飲めるようになります。それが楽しくなってきたら、カッピングイベントに参加するタイミングです。

カッピングイベントに参加するメリットと探し方

自宅カッピングも良いですが、イベントで体験するとプロから直接解説を聞ける分、理解が深まります。

カッピングイベントで得られること

同じ場所で複数の豆を一度に飲み比べられることが最大のメリット。スペシャルティコーヒーの専門家が各豆の産地・精製方法・焙煎の背景を説明してくれるので、「この甘みはナチュラル精製由来なんだ」という知識が具体的な味覚と結びつきます。また、同じ豆に対して他の参加者がどんな表現をするかを聞くのも面白い。「私はリンゴっぽいと思ったけど、この方はマスカットと言っている」という発見が、風味の解像度を上げてくれます。

参加前に知っておくべきマナー

カッピング中は香りが混ざらないように、香水やコロンは控えめにするのがマナーです。また「スラーピング」という派手な飲み方を求められることがありますが、これは評価のために必要な動作です。周りもやっているので遠慮なくどうぞ。スコアシートへの記入が求められることがありますが、正解はありません。「わからない」はそのままでも大丈夫です。

国内で開催されているカッピングイベントの探し方

スペシャルティコーヒー専門店のSNS(InstagramやX)やイベントページを定期的にチェックするのが確実な方法です。「カッピングイベント」「コーヒーワークショップ」などのキーワードで検索すると見つかります。Peatixなどのイベントプラットフォームでも「コーヒー カッピング」と検索すると出てきます。東京・大阪・京都・福岡など主要都市では定期的に開催されています。

まとめ

カッピングはプロのための専門的な評価手法ですが、基本を知ることで「カッピングスコア88点」「ウォッシュドプロセス」「フルーティなアシディティ」といったコーヒーの説明書きが読めるようになります。

自宅で気軽に試すなら、気になる豆を2〜3種類並べてお湯を注いで飲み比べるだけ。それだけでも発見があります。もっと体系的に学びたくなったら、カッピングイベントへの参加がおすすめです。

コーヒーの知識が増えると、飲むたびに「これはどんな豆かな」と考えるようになって、一杯のコーヒーがもっと豊かな体験になります。ぜひ試してみてください。

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